子どもたちからもらってうれしかったもの

教員時代

公立の先生は公務員なので、子どもや保護者の方から物品のプレゼントを受け取ることはできません。でも、20年以上教員をしてきた私が、卒業式や学年の終わりに子どもたちや保護者の方からいただいて、本当にうれしかったものがあります。

心のこもった手紙

なんといっても、心のこもったお手紙は本当にうれしいものです。

「先生と一緒に見た〇〇が最高の思い出です。」や

中学生男子が照れくさそうに小さな紙に

「今までありがとう。」と書いて渡してくれた一言だけでも、胸が熱くなります。

字が苦手な子が一生懸命に書いてくれた手紙も、

保護者の方が「先生にお世話になったことを子どもと話しながら書きました。」と伝えてくださる手紙も、

どれも宝物です。

忙しい日々の中でふと読み返すと、その時の子どもたちの表情や声がよみがえってきます。

クラス全員で書いてくれたメッセージカード

一人ひとりが色紙や画用紙に短いメッセージを書いてくれることもあります。

休み時間や放課後に子どもたちだけでこそこそと準備をしてくれていたかかと思うと、それがまた嬉しい!

「先生の授業が楽しかった!」

「休み時間に話を聞いてくれてありがとう!」といった言葉が並ぶ色紙は、今見ても、その頃が思い出されて嬉しくなります。

写真やイラスト

子どもたちが描いてくれた似顔絵や、クラスみんなで撮った写真をアルバムにしてくれたものも、大切な思い出で本当に嬉しいです。

小学校1年生の子が終業式の日に、わざわざ似顔絵とお手紙を書いてプレゼントしてくれたこともありました。「2年生も先生が良いな!」なんて言われた日には、めちゃくちゃ愛おしいですよね。本当にうれしい。

ある年の卒業式では、保護者の方がクラスの写真を集めて、一冊のフォトブックを作ってくださったことも。ありがたすぎます。

卒業アルバムはありますが、教師は日常の写真が意外と少なかったりするので、こうした写真の贈り物は本当にうれしいものです。

さりげない言葉

物として形に残るものではありませんが、卒業式や終業式の日に

「先生のおかげで楽しかったわ。」

「このクラス、よかったなぁ」

と伝えてくれる言葉も、本当に嬉しくなります。

卒業して何年か経った後に、偶然再会した生徒さんから

「あの時、先生のあの言葉、今でも覚えてます。」

と言われたこともありました。言葉にして伝えてもらうってこんなに嬉しいんだ!と改めて気づきました。教員として、感謝の言葉を伝えていただけるなんて、こんなに幸せなことはありません。

もし、物をもらってしまったら?

卒業式の日、保護者の方や子どもたちがせっかく用意してくださったものを断るのは、申し訳ない気持ちになることもあります。でも、先生は物を受け取ることができません。

もし、物をいただくことになったら、私はすぐに校長先生に相談していました。校長先生が状況に応じて適切な対応をアドバイスしてくださったので、ほんと、とても助かりました。

物品(菓子折りや時計、万年筆など)は受け取れないのですが、手作りのお菓子や花束など、心のこもったものはありがたく受け取らせていただいていました。

そして、私が一番うれしいのは、

「先生、一緒に写真撮りましょう!」という言葉です。

一緒に写真を撮ることで、子どもたちが先生との思い出を大切にしたいと思ってくれていることですよね。その気持ちが、何よりもうれしいのです。


長年教員をしてきて思うのは、

物ではなく「気持ち」が伝わることが一番嬉しいということです。

卒業式や学年終わりは別れの時でもありますが、それ以上に「ありがとう」を伝え合う温かい時間でもあります。子どもたちからもらったたくさんの思い出を胸に、これからも歩いていきます。